Lの骨の髄まで

Lな私の、Lだった私の、恋愛や日常についてなどなど…

愛子ちゃん①

こんにちは、こんばんは、〇〇です。

(まだ名無しです、たぶんしばらくこのまま。)

今回から少しの間、とても大事な人について書きたいと思います。

忘れないうちに、早く、早く。

 

 

その人は、とてもきれいな人でした。

 

私が高校時代、唯一好きになった人。

憧れではなく、最初に「恋」した女性。

そして、たぶん最初に愛した人で、今のところ、最後に愛した人でもあります。

 

高校のパンフレットに載るくらいで、正統的な美人というような顔立ちだった。

でも彼女の性格もあって、かわいいという表現の方が合うかもしれない。

くりっとした大きな瞳が目を引く、化粧品のCMに出ていそうと言われるような、おおむね誰が見てもきれい、というようなそんな容姿をしていた。

 

美しかったのは外見だけではなくて、それ以上に心が美しい人だった。

人に対する愛情が豊かで、彼女の近くにいると、温かい光に包まれているようなそういう印象を与える人。

 

1年生の時はクラスが違ったけれども、「学年のかわいい子」の話になると必ず名前が挙がる子だったから、存在は知っていた。

夏祭りの時に共通の友達の紹介で初めて言葉を交わした。

ピンクや紺や水色の鮮やかな浴衣が並ぶなか、夜の暗闇に、その子の白だけが映えていた。

「かわいいね」と言葉をかけると、ありがとうとは言わずに、はにかみだけで答えた。

その日以来私も、「学年のかわいい子」の話になると決まって彼女の名前を出した。

 

 

高校2年生に上がる前にあったクラス別の説明会で、彼女も私と同じ進学クラスを選択したことを知った。

仲良くなりたい、と瞬時に思った私は「隣いいかな?」と言って、彼女の側に座り少し話をした。

 

この時には、これから先何年も関わっていくことになるなんて想像もしておらず、かわいくて人気者の彼女とお近づきになれたら、高校生活が楽しくなるだろうなとか、一方では、この子が運命の人だったらどうしよう~などといった浮ついた気持ちだったろうと思う。

 

 

そして、高校生活は2年目に突入した。

 

 

ここからは便宜上、彼女の名前を愛子と付けます。

愛情に溢れていたから愛子、単純です(笑)

 

 

同じクラスになった私たちは、クラス別説明会の時に顔見知りになっていたので、すんなりと友達になることができました。

 

愛子は人気者なのに人見知りで同じクラスには知り合いもいないよう…。

それでも一度友達になると懐っこいようで、出会って間もない私の腕を組み、「人見知りなんだよね…」と呟いた。

この時の、遠慮がちに組む腕の感触は、10年以上経った今でも思い出せる。

彼女の長い髪が風でやわらかく揺れたことも、その風が春の香りをまとっていたことも。

 

二人とも他に知り合いがいないこともあり、移動教室やグループを組む時もいつも二人だった。時間が経ってクラスに友達ができてからも、それは変わらなかった。

 

私は中学生の頃から女性に対しては強い感情があったし、なにより『マリア様がみてる』の影響によって百合脳になっていたため、彼女のような素敵な人と「二人」で行動することになんとなくときめいていた。

それに美しく優しい彼女が自分の運命の人なのではないかというおめでたい思考があったので、その前にこの人がどういう人なのか見極めたいという願望もあったかもしれない(本当に傲慢)。

 

私はすぐに彼女の虜になった。

きれいでかわいらしくて優しくて明るくて。

そして、その奥底に時折孤独が見えて、それがたまらなく好きだった。

 

 

夏頃に「学習合宿」という、文字通り学習のために宿舎に缶詰めにされる行事があった。確か二泊三日。その時も私たちは二人部屋で寝起きをともにした。

 

自由時間は夜寝る前のわずかな時間しかなかったが、お互いのいろいろなことを話した。

愛子は、中学の一時期いじめのようなものにあっていたこと、今まで好きな人ができたことがないことを話してくれた。

そして、

「私のお母さんは初めてお付き合いした人と結婚したから、私も最初の恋人と結婚したい!」

ということも。

 

今でこそ、「結婚したい」なんていう女性とはできれば恋愛したくないですけれどね、当時は高校生だったから「結婚」なんて遠い彼方だと思っていたからね。初めて付き合った人と結婚なんて不可能なのでは?というのも思っていたし。

とにかく、ちょっと気になる愛子ちゃんが「結婚」というワードを出しても、さほど気にしていなかったような記憶があります。

 

そしてその後に彼女が漏らした一言

「でも、この先好きな人ができない気がする…」

どちらかというと、こちらの方が印象深い言葉だった。

 

 

学習合宿も無事終わり、それと同時に夏休みがスタートしました。

当時の私は遊びに誘ったりするタイプでもなかったし、部活もしていたので、夏休み中は会うこともなかった。

今考えるともったいないことをしたな~

有り余る夏という季節を、もしも今だったら、彼女としたいことが山ほどあるのに。

 

もしももう一度あの夏が来るのなら、私はどんなことだってするのに。

 

 

そしてこの夏に出会ったのは、以前のブログに書いた、中山可穂さんの作品の数々でした。

読み漁って、すっかり百合からビアンの世界に足を踏み入れた頃、季節は運命の秋を迎えます。